今週のお題は「卒業」ですが、ここであえて「卒業する」という言葉の使い方について考えてみたいと思います。
●よく使う意味
多くの人は「卒業する」という言葉を学校教育を終えるという意味で使います。また、小学校を卒業して中学校に行くという意味から、「一つ上にステップアップする」という意味で使っていると感じます。「卒乳する」とは、乳児期にある子が母乳やミルクを飲むことから離乳食を食べ始めることですが、これも上記の「ステップアップする」との意味の言葉です。
わたしが高校生になったくらいの頃、親戚のおじさんに「もうテレビゲームは卒業したかな?」と言われたことがありました。おじさんにとって見たら「ゲームをする」というのは子どもっぽいことで、そんなゲームをやらなくなることは「一つ上にステップアップする」ことなのでしょう。「ゲームをやらなくなる」=「大人に近づく」と考えられていた時代です。
そんな今では「卒業する」という言葉を違ったニュアンスで使うこともしばしばあります。
●これって違う意味?
最近はあまり見られなくなりましたが、アイドルグループが所属している団体を「卒業する」という言葉。これは、年齢も上がってきたし、そろそろアイドルから離れ、「ステップアップする」という意味で使われているのでしょうか。
わたしは、そうではないと感じます。
アイドルのままでいたほうがいい人もいるし、やめたくてやめたわけでない人もいるでしょうし。そりゃあ中には、出世する人もいるでしょうが。
卒業って必ずしも「ステップアップする」意味で使わなくてもいいような気がします。違う言い方をすると、そうでないケースが増えているのが現代かなと。
●卒業してもステップアップしないときもある
先ほどの例でいえば「ゲームをする」のは現代では、子どもっぽいこともでもなくなっています。大人でもやっている人はいますし、中にはゲームでお金を稼いで生計を立てている人もいるわけです。一見子どもの遊びと考えられるゲームも、立派な大人の遊び?と認めらる価値観があるわけです。
アイドルだってやめて卒業したからって「キャリアを高められる」とは限りません。女優になる人もいますし、中にはふつうの一般人になる人だっています。それは個人の自由だと思いますし、キャリア云々の話ではありません。
ここで言いたいことは、アイドルをやめて女優になることがステップアップになるか、一般人になることは違うかということではありません。(←じゃあなんだよ!)
卒業の意味が広がっているような気がするということです。
●卒業の意味が広がる現代
大辞泉という辞典を引くと
①学校の全課程を学び終えること
②ある段階や時期を通り過ぎること
とあります。
きっと、②の「ある時期を通り過ぎること」が少しニュアンスの違った「卒業する」なんでしょうね。
読んでくれた方、感想をいただけるとうれしいです。
タイトル修正2020/05/23